良い歯医者の選び方

皆さんは「良い歯医者の選び方」を知っていますか?

私も他の地域に転居される患者さんに「どこか良い歯医者さんを紹介してくれませんか?」という質問をよくされます。大分県の患者さんであればO P Eという私が主催する医療コミュニティに参加して頂いている先生方をご紹介させて頂いております。大分県以外の地域では、勉強会や研修会などで教えた先生方やアメリカの専門医の先生方をご紹介させていただくことが多いのですが、そのような先生方がいないような地域では歯科医院のホームページを見ても良い事ばかり書いてあり、大切な患者さんをどの歯科医院に紹介すれば良いのかよくわからないというのが正直なところです。

そのような理由から、当院では良い歯医者の選び方の1つの参考にしていただくために、当院に来て頂いている患者さんにアンケートをご協力頂きリアルな声を他の患者さんの参考にしていただく取り組みをNPO法人 日本歯科医療評価機構という第三者機関に依頼して行なっています。また、NPO法人 日本歯科医療評価機構は、より良い歯医者を患者さんに選んでもらうために、新たに良い歯科医療を提供する歯科医院を、評価・認定しています。ここで掲載されている「良い歯医者の選び方」の内容は、当院の考え方に非常に近いので是非参考にしてみてください。

以下に、私が考える「良い歯医者の選び方」についても知って頂きたいと思いましたので、そちらもご紹介させて頂きたいと思います。

  1. 予約制で予約時間を十分に取っている:良い治療(適切な診査・診断と科学的根拠に基づき長期予後を見据えた治療)をするには時間がかかりますし、治療に入るまでにも時間はかかります。そうすると必然的に1日に1人のドクターや衛生士さんの診る患者さんの数は限られますので、治療の予約時間がどのくらいあるのかは良い歯医者を選ぶ重要な要因です。
  2. 診査・診断をしてから科学的根拠に基づいた治療を行なっている:応急処置以外は初診時にいきなり治療をすることはありません。なぜかというと病気の原因が何なのか・病気のリスクとなっているファクターは何なのか・再度病気にならないようにするためにはどうすれば良いのか・などについてしっかりと診査する必要があるからです。口の中の写真を細かく撮影したり、レントゲン写真(大きなレントゲンだけではなくて小さなむし歯や歯周病を診断するために必要な小さなレントゲンを10数枚)を撮影したり、歯周病の検査をしたり、リスク検査(むし歯や歯周病になりやすい要因があるかどうか)、必要であれば3次元的な歯科用C Tを撮影したり、不適合な被せ物を除去してむし歯がどのくらいあるのかなど診断するための情報を集める必要があります。それらの情報に基づいて適切な診断を行い、さらに科学的根拠に基づいて治療を行なっている歯科医院は良い歯医者だと思います。患者さんからも「その治療をする根拠は何なのか?」を聞いてみるのも良いと思います。
  3. 専門医と連携している:歯科にはいくつもの専門分野があり、専門医制度も存在しています。日本歯科医学会には合計で43もの専門・認定分科会(25の専門分科会と18の認定分科会)が存在しています。一方で、アメリカでは2020年時点で12の専門分野がアメリカ歯科医師会( National Commission on Recognition of Dental Specialties and Certifying Boards)によって認可されています。欧米では専門資格を有した歯科医師は、自分の専門分野に特化した治療に専念していることがほとんどです。その理由の1つは、数多くある歯科分野の1つでさえも医学情報は莫大で近年加速度的に蓄積され変化しており、高いレベルで知識や技術をアップデートいていく必要があるからです。それが患者さんの利益に繋がると私は考えます。しかしながら、厚生労働省のデータによると、歯科診療所において広告可能な専門資格を有している歯医者の割合はたったの3−4%です。つまり96-97%の歯科医師は広告可能な専門資格を有していません。正確にはわかりませんが、日本において矯正歯科以外は全ての分野を行なっている歯科医院がほとんどだと推測されますし、ホームページをみると全ての治療を高いレベルで行なってくれるような印象を受けます。一方で、政府は骨太の方針に基づいて地域において「病院と診療所の機能分化・連携等を推進しつつ、かかりつけ医・かかりつけ薬剤師の普及を進める」ことを目指しています。日本医師会によると「かかりつけ医」とは、「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義されています。皆さんの周りの「かかりつけ歯科医」はこの定義に当てはまりますか?つまり、専門医が専門分野のみを行なっているような歯科医院は間違いなく良い歯医者ですし、専門医を紹介してくれるかかりつけ歯科医院や専門医と適切に連携している歯科医院も良い歯医者を選ぶための1つの基準です。
  4. 治療前・治療後に十分な説明がある:対症療法ではなく、病気の根本的な原因やその病気のリスクが何か、どのような治療のオプションがあるのか、治療をするメリット・治療をしないデメリット・治療の限界・治療後の合併症、などを可能な限り説明してくれることも重要です。同様に、治療中・治療後もどのような状態であったか、治療後にどのように良くなったのかについて十分な説明があることも大切です。
  5. 病気の原因に基づいた治療を行なってくれる:病気の根本的な原因やその病気のリスクが何かについてしっかりと説明があり、それらを除去するための治療を行なってくれる。例えば、歯の根の治療をする際にラバーダム(唾液や細菌が入らないようにするためのラバー)をしている、修復治療(詰め物の治療)・補綴治療(被せ物の治療)・矯正治療をする際に、ブラッシングや歯ぐきの状態が改善されてから治療に移っている、などです。
  6. 担当衛生士制である:歯周病の検査と治療は非常に複雑で難しい基準に基づいて行う必要があります。そのため、いつも同じ人が検査をすることによって可能な限り炎症の変化を同じ基準で比較することができ、検査時の知見や診断に基づいて原因やリスクを軽減・除去するための歯周病治療を行うことができます。また、歯周病は生活習慣病でもあるので、病気を予防・改善するためには患者さんに生活習慣を改善してもらい長期的に維持していただく必要があります。これに関してもいつも同じ歯科衛生士さんが診てくれていればその患者さん特有の口の中のことやキャラクター、環境因子などを把握した状態で生活習慣の改善をサポートしてくれます。これも良い歯医者を選ぶ基準の1つです。

上記のような当院の考える基準や「良い歯医者の選び方」を知って頂き、地域の皆様が多様化する疾病構造や医療ニーズに対して自ら主体的に望む医療を選択できるように、そしてより長期的に健康になるように当院でも精一杯サポートさせて頂きたいと思います。

 

米国歯周病インプラント専門医
岸本 隆明